FRANCK MULLER | フランク ミュラー 2023新作 ドレッシーなバーインデックスモデル。フランク ミュラー「グランド セントラル フラッシュ トゥールビヨン」

　2023年の新作としてフランク ミュラーより、2021年に発表されたグランド セントラル トゥールビヨンからドレッシーなバーインデックスモデル「グランド セントラル フラッシュ トゥールビヨン」がWPHH2023に登場しました。インデックスと秒針を指し示すトゥールビヨンキャリッジにポリマーコンポジットがセッティングされ、華やかな色彩が目を引くコンプリケーションウォッチとなっています。

　 フランク ミュラーの手がけるトゥールビヨンが現在に至る快進撃を開始したのは、2006年のことです。この年に本拠地ウォッチランドの一貫生産体制がほぼ完成し、驚異的な“複雑時計のマニュファクチュール”体制が確立しました。充実した条件のもと、前年までの「トゥールビヨン・レボリューション」シリーズを引き継ぐ形で「エテルニタス」の伝説的な五連作が発表されます。その後も「ギガ トゥールビヨン」「サンダーボルト トゥールビヨン」「トノウ カーベックス レディース トゥールビヨン 」「ヴァンガード グラヴィティ」など、自社設計の話題作が次々と誕生しました。世界が注目するそのトゥールビヨンの系譜に連なる最新のモデルが「グランド セントラル トノウ カーベックス」です。フランク ミュラーはこのモデルで初めて、トゥールビヨン機構を時計の中心に位置させました。

　一般的なラウンド型でない腕時計で、セントラル・トゥールビヨンを実現したのはこの時計が世界初です。またフランク ミュラーでは珍しい自動巻を採用したのですが、マイクロローター式の自動巻トゥールビヨンは極めて貴重な作品となっています。

　ケージ(キャリッジ)径17.7mmの堂々たるトゥールビヨンは、場所もサイズもこの時計の間違いない主役です。時刻表示はその外周から先端を突き出す時針・分針で示されますが、針を支持する中心にあたるものは見えません。ミステリアスなこの表示機構は、針を支える円形の部品をセラミックボールベアリングで支持して回転させる、画期的な新機軸です。両方向巻き上げのマイクロローターを装備し、パワーリザーブはシングルバレルながら3日半＝84時間もの長さを誇ります。18K製のタイミングスクリューで調整するフリースプラング方式、ブレゲひげゼンマイは自社製造です。注目すべきは脱進機の部品製造が切削ではなく、素材を堆積させるエレクトロフォーミングで製造していること。従来に比べて10倍もの高精度で加工することが可能になりました。

　そしてケースはフランク ミュラーが誇る「トノウ カーベックス」の進化形です。サファイアクリスタルはフリンジの上をまたぎ、12時・6時位置のケースエンドまで延長されているのです。この大胆なモディファイにより文字盤のダイナミズムを高め、トノウ カーベックスの曲線はストラップとシームレスに接合します。造形上の美観は、そのまま人間工学的な装着感の向上にもつながります。

　フランク ミュラーのトゥールビヨンは、進化することを止めません。それは天才時計師フランク ミュラーが、ただひとり部品を組み上げていた創業前から続く、不変の約束です。