ŌTSUKA LŌTEC日本における独立系ウォッチの人気を牽引する注目のマイクロ・ブランド「大塚ローテック」 01
工業デザイナー片山次朗の理想の具現化に
始まる「大塚ローテック」の歩み

「ジュネーブ・ウォッチメイキング・グランプリ(GPHG)の授賞式に出て感じたことなんですが、スイスの時計界というのは横のつながりがあることが、うらやましいですね。それとネットで工具や材料を買っていた時代からスイスとは環境が違うことを痛感していました。たとえば、何か部品を買うにしても100個以上じゃないと買えないとか、時計部品店が集まっている御徒町よりアメリカから買った方が安いとか。たしかにスイスと戦う環境としてはもの足りませんが、日本ならではの武器になる部分というのはきっとあると思います」(片山次朗さん)
最近、時計のトレンドはシンプル化と小径化であるという。多くの時計メーカーがこのトレンドに着目し、かつての“デカ厚時計”ブームが嘘のように、直径の小さな2針、3針のシンプルなモデルが次々とリリースされている。
そんな中、ある意味「原始的」とも言うべきメカニズムむき出しの造形で熱烈なファンを獲得したブランドがある。それが日本のインディペンデント・ウォッチ・メーカー「大塚ローテック」である。
この「大塚ローテック」の創業者でありマスター・ウォッチメーカーが片山次朗さん。彼はもともと工業デザイナーであり、我が国の最大手自動車メーカーの系列会社で自動車のデザインを担当していたという。
彼が時計に興味を持ったきっかけは、実家が質屋さんを営んでいたことで、子どものころから時計が身近にあったから。さらに若い頃にはバイクやクルマいじりにはまったことで工業デザイナーへの道を選んだが、幼いころからの経験とメカ志向が融合し、時計のデザインと製作を行うようになったのである。
自動車会社を退職し、片山さんが時計作りを始めたのが2007~2008年のこと。まずケースと文字盤のデザインを起こし、そこに日本製の自動巻きムーブメントを搭載し、2012年に製品化を実現。このときのモデルは2012~2022年で約400本を生産し、ネットで注文を受けて、直接送付するという方式で販売された。
やがてその初期モデルを改良して完成させたのが2023年に販売を再開した「大塚ローテック 7.5号」。つまり最初期モデルである「7号」の改良版であることからプラス「0.5」が品番となった。
2024年1月には時分同軸のダブルレトログラード表示を実現した「大塚ローテック 6号」を発表。このモデルのベースは2015年に開発し、2022年まで販売されたが、2023年発表の新バージョンはこれを改良し、安定性と信頼性が向上したという。
これらのモデルはすべて片山さんが設計を行い、東京・大塚にある自宅兼工房で片山さん指揮のもと、3~4名のスタッフによって部品加工から組み立てまでが行われている。販売方法は現在のところネットでオーダーを受けての抽選販売。価格はこういった独立系メーカーおよび独立時計師の作品としては非常にリーズナブルだが、そこには「自分の納得する価格で売りたい」という片山さんの強い意志が反映されている。
それにしても気になるのが「大塚ローテック」という名称。「なんで、この名前にしたんですか?」という私の問いかけに、片山さんは笑いながら、こう答えた。「あえてダサめの名前にしたかったんです」なるほど。時計作りだけでなくユーモアのセンスも、なかなか鋭い。
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