Watch Person Interview vol.46 「ファミリー・ビジネスであるフォルティスは 大きな可能性を秘めています」
「私がフォルティスのCEOに就任して最初にしたのは、約2週間、本社工場を見学することでした。そこで感じたのは、“フォルティスがファミリー・ビジネスであること”そして“将来的に大きな可能性を秘めていること”でした。
私はファミリー・ビジネスというものに、とても興味がありましたし、フォルティスはこの先、財政面と生産面を改善すれば、もっともっと良くなると感じたのです。
逆に問題点も見えてきました。最初に思ったのはモデル数が多すぎること。そこで私は123モデルから、一気に49モデルまでラインナップを絞りました。
123のモデルの中のいくつかは、フォルティスの遺伝子を引き継いでいないと感じたので、それらをカットしたのです。
なぜなら以前のフォルティスは、低価格なクオーツから複雑機構を搭載した高額モデルまで、すべてのジャンルを網羅しようとしていました。しかし、これではブランドとしてうまくいかないと思ったのです。
私が考えるフォルティスでは、メンズの機械式時計を軸として中間価格帯からハイエンドまで展開しつつ、あまり高額すぎないモデルを作ることが大切、ということです」
確かにフォルティスというと、我々はパイロット・ウォッチや宇宙飛行士用時計を思い浮かべるが、これらに属さないモデルも多く、散漫な印象は否めなかった。そこにスピッツィさんは大胆にメスを入れ、フォルティスの遺伝子を継承するモデルに絞り込んだのだ。
もちろん、彼が実行したのはそれだけではない。フォルティスの次の100年を担う新たなモデルも開発した。
「それがブラウン・ダイアルのモデルです。フォルティスは1987年に本格的にパイロット・ウォッチの分野に参入し、1992年には宇宙飛行士用時計を開始しましたが、100年の歴史がありながら、その前半の歴史が空洞化していたのです。そこで私は、前半の50年間にフォーカスしたモデルを作ることにしたのです。
ダイアルに採用したのはブラウン(茶色)。そこからイメージされるのは木です。かつての飛行機は木で作られていましたし、プロペラやレザー・ジャケット、オイルの汚れなどがブラウンという色に象徴されます。つまり航空機黎明期の初期のモデルに立ち戻ったのです。
また、これまでフォルティスのラインナップには、宇宙のコスモノーティス、空のアビアティス、海にはアクアティスがありましたが、その間をつなぐモデルとして地球をテーマとする『テレスティス・コレクション』を作り、それによりフォルティスの世界が完結しました」
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『エアロマスター ダスク デイデイト』
その名の通り“夕暮れ(Dusk=ダスク)”をイメージしたダイアルとブラックPVD仕上げのケースが特徴。デイデイト(写真)とクロノグラフがある。自動巻き、パワーリザーブ38時間、デイデイト表示(曜日表示は英語とドイツ語表記を選択可能)。SS(ブラックPVD)、ケース径42mm、20気圧防水。220,000円(税抜)。
取材・文:名畑政治 / Report&Text:Masaharu Nabata
写真:堀内僚太郎 / Photo:Ryotaro Horiuchi
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