CYRUS | サイラス 2023新作 新たに夜光カーボンベゼルとシリーズ初のメタルブレスレットを採用。サイラス「クレプシス ダイス ライム カーボン」

　機械式時計は、何世紀にもわたり、私たちに驚きを与え続けてきたひとつの芸術です。「わずか」数世紀前に作られた傑作ピースを今でも堪能できるだけでなく、高性能なメカニズムとさらに大胆で魅力的なデザインとを組み合わせた新作ピースを見つけることもできるのです。

　サイラスと時計師の匠・ジャン-フランソワ・モジョンは、2010年のメゾン設立以来、この哲学を守り続けています。

　近年、サイラスはレトログラード日付表示とリニアタイム表示の特許を取得したクレプシス ムーンや、トゥールビヨンを90度傾けて、業界で初めて文字盤中央に縦型配置したクレプシス バーティカル トゥールビヨンなど、革新的なタイムピースの傑作を生み出してきました。そして2021年夏には、正に革命といえるコンプリケーションウォッチを発表しました。

　そして誕生したのが、世界初の独立ダブルクロノグラフを搭載したクレプシス ダイス（DISE：Double Independent Chronograph Evolution）です。このモデルはそれぞれ完全に独立して、あるいは同期して、2つの中間タイムを計測することができ、対応するツートンカラーを用いることでその読み取りを容易にしています。また、3時と9時位置にあるデュアル機能リューズによりシングルプッシャー仕様です。クレプシス ダイスではそれぞれのリューズが、クロノグラフのスタート、ストップ、ゼロリセットを実行します。3時位置のリューズは、ムーブメント巻上げ、時刻合わせ機能も備えています。

　2023年、サイラスは、この新たな概念を持つオリジナルクロノグラフの新バージョンである「クレプシス ダイス ライム カーボン」を発表しました。定番となるクッション型の光沢／サテン仕上げのグレード5チタン製ケースに、カーボンファイバー製ベゼルを組み合わせています。軽量で温度変化に強いこの素材は、何層にも重ねてから加工することで、ひとつひとつのベゼル表面が一品ものの仕上がりとなります。さらに、この新作では、ベゼルにユニークな特徴を持たせています。夜光素材を封入することで暗闇で光るのです。

　革新的なカーボンベゼルに加え、「クレプシス ダイス ライム カーボン」では、光沢仕上げの六角形センターリンクを備えた、サテン仕上げのチタン製一体型ブレスレットを初めて採用して装いを新たに、これまでのコーデュラストラップバージョンに仲間入りします。同じモデルでありながらルックが一新されています。

　10気圧防水のケースサイズは直径42mm、厚さ16.5mm です。かなり分厚いと感じる人もいるかもしれませんが、ダブルメインプレートを含む前例のないキャリバーであることを考慮すると、納得の厚みなのです。また、軽量なチタンとエルゴノミックデザインを採用することで、極めて快適なフィット感のケースを実現しています。

　メゾンの多くのコレクションの特徴のひとつである立体構造のディスプレイは、作動中のクロノグラフ機構と、コンプリケーションの心臓部である2つのコラムホイールが見える設計になっています。

　ウォッチ全体に多くの部品が見える構造にもかかわらず、「クレプシス ダイス ライム カーボン」の各機能の読み取りはとても簡単です。

　スーパールミノバ加工が施されたアラビア数字の時・分表示と針は、無反射サファイアクリスタルのリングに配置されています。3時位置にはダブルクロノグラフカウンターがあり、スモークサファイアクリスタルにグリーンの縁取り、ライムグリーン／イエローで15／30のダブルナンバリングが施されています。ツートン カラーのダブルナンバリングは、分フランジにも施されています。

　クロノ秒針も分針も鏡像のような位置関係になっています。グリーンで表示される1つ目のクロノグラフは、3時位置のリューズプッシャーを押すことでスタート、ストップ、12時位置のリセットが可能です。イエローで表示される2つ目のクロノグラフは、9時位置のリューズプッシャーを押すことで6時位置にリセットされます。両リューズには、2つのクロノグラフとリンクする同色リングがあしらわれています。9時位置のスモールセコンドは、プロペラ型の針を備え、ディスプレイを構成するエレメンツ全体の視覚的対称性との調和が取れています。クロノカウンターとスモールセコンドカウンターのブリッジは、グリーンラッカー装飾が施された縁取りが際立っています。

「クレプシス ダイス ライム カーボン」は、1つのケースに全く同じ2つのクロノグラフ機構を組み込むことを考え付いた、ジャン-フランソワ・モジョン設計の前例のない自社工房製自動巻きキャリバーCYR718の開発によって誕生しました。さらにダイヤルの裏側は、歯車と2つのコラムホイールの動きを堪能することができるようになっています。

　この革新的なムーブメントには、2つの独立したクロノグラフの追加モジュールの218部品を配置するため、2枚のメインプレートが必要でした。ムーブメント全体で総数443個の部品で構成され、毎時28,800振動、たった1つのバレルから60時間のパワーリザーブを実現しています。

　キャリバーには、クロノ秒針と30分計の2つの表示軸のみを備えたダブルクロノグラフを搭載しています。これらは、クロノ秒針と30分計表示の歯車を動かすレバーを作動させる、2つのコラムホイールによって制御されています。これらのレバーが動くと、特にハンマーがハートカムに接触するリセット段階で、かなりの衝撃とエネルギー分散が発生します。これを避けるために、設計段階で、同現象の持続時間を正確に測定できる特別な隔離システムが考案されました。そのため、2つのクロノグラフは互いに影響し合うことなく、独立して機能します。

　2つのクロノグラフを分離することは非常に難しいことでしたが、それにとどまりません。このコンプリケーションを配置するためには、クラシックなクロノグラフよりも多くのスペースが必要だったのです。それゆえ、従来は異なる回転軸の歯車で構成されていた、時と分を読み取るためのチャプターリング機構も変革する必要がありました。こうしてモジョンは、よりコンパクトで針の軸と同軸に配置された、これまでにない同心チャプターリング機構を考案し、その解決策を見いだしました。

　この見事なムーブメントは、サファイアクリスタルの風防から見ることができ、面取りポリッシュ仕上げの縁取り、アンスラサイトグレーのNACコーティング表面、サンレイ仕上げとマット仕上げを交互に配した放射状装飾が特徴のブリッジを堪能することができます。モノブロックローターには、メゾンのモットーである「The Conquest of Innovation」の文字が刻印され、4N 18Kゴールドのロゴプロペラがあしらわれています。

「クレプシス ダイス ライム カーボン」は、グリーンのコーデュラストラップモデル50本、チタンブレスレットモデル50本の限定品で、メゾンのロゴが刻まれたカスタマイズ・フォールディングバックル留め仕様です。