Watch Person Interview vol.70グラハム 創業者・役員 エリック・ロト インタビュー

　 ロト氏のアイデアを具現した時計は、レギュラー・コレクションのみならず、限定モデルにも及ぶ。そのひとつが、2017年に発売された「クロノファイター ヴィンテージ ノーズアート」。その名のとおり「クロノファイター」のダイアルに、ノーズアート（航空機の機体に描かれているピンナップ・ガールのイラスト）を施したユニークなモデルだ。

「実は、私は作品をコレクションするほどのアート好き。とりわけ、モダンアートやポップアートに関心を持っているのですが、こうした作品のひとつとしてノーズアートにも興味がありました。ノーズアートの発祥はアメリカで、その後、イギリスやドイツ、イタリアにも広がったカルチャーですが、調べてみると、機体にピンナップ・ガールなどのイラストを描くことには意味があったことが分かりました。それは、乗組員たちの安全を見守ってくれるというもの。その背景を知ったとき、これを腕時計に採用したら“着けているユーザーを見守る”という意味を与えられるのではないかと考えました。でも結果的にノーズアート・モデルを展開したことは、グラハムにとってもラッキーでしたね。全4モデル、各100本ずつの限定本数は、ほぼ完売したのですから」

　 好評を得たノーズアート・モデルのクリスマス限定バージョンとして2017年冬に登場したのが、『クロノファイター ヴィンテージ ノーズアート LTD』。セクシーなサンタクロースの衣装をまとったマスコットガール「メリー」が、ダイアル上で艶めかしいポーズをとりながら微笑んでいるモデルだ。

「これはクリスマスにちなんだ、わずか世界25本の限定。このモデルでの利益は考えていませんね。コレクターのために作った限定モデルです」

　日本に入荷されるのは1本のみ。果たして、サンタクロース姿の女神は、誰を見守るのだろうか。