CHRONOSWISSアフター・コロナの時代を見据えたクロノスイスの戦略と注目の新作 01
「新型コロナの流行は
我々に新しい出会いをもたらしました」
以前、オリバー・エブシュタイン氏にインタビューしたのは、クロノスイスのCEOに就任して3年後の2015年5月のこと。その後、2017年の来日時にもインタビューしたので今回のインタビューは5年ぶりである。
そこで、まず何よりも伺いたかったのは、新型コロナ感染症の世界的大流行は、クロノスイスにどのような影響を与えたのかということだ。
「コロナ禍にあっても、私は常にポジティブでした。なぜなら新型コロナの流行によって、我々はもちろん、世界中の人々が、より多くの時間を持つことができたからです。
その時間を使って多くの人々がインターネットでクロノスイスのことを検索していただき、それが我々にとって、新しい出会いにつながりました。
同時に非常に多くの質問がネット上で交わされるようになったのも大きな変化でした。なぜなら、誰もが以前と同じような旅行ができないので、その予算がモノを買うコストに振り分けられたのです。つまり旅行の楽しみが、ネットで何かモノを買い、それを所有するという方向に向いたのです。
それが最近、顕著に見られる傾向です。そのあおりを受けたのがレストランや旅行会社でしょうね。本来なら旅行や外食に使われるお金が、ネットでの買い物に費やされ、中でも時計がたくさん買われたわけですから」
では、この3年ほどの間、クロノスイスの生産体制などに変化はあったでしょうか?
「本社工房から近いエリアに住んでいる技術者は、アトリエから自宅に持ち帰って仕事をこなすようになりました。しかし、スイスではもともと自宅で時計を組みてるのが伝統でしたから、そのシステムに帰ってきたわけです。ですから地元の新聞には『今、古い家や農場の小屋で時計師が時計を作っている。まるで百年前のようだ』と報道されましたよ」
古典主義から脱し、ファッショナブルな
モダン・メカニカルを目指す
冬の農閑期に時計師が自宅の屋根裏部屋などで時計を組み立てる家内制手工業からスタートしたスイスの時計産業。それが新型コロナ禍によって、必然的にその時代のスタイルに戻ったとのは興味深い現象である。
ではエブシュタインさん、このパンデミックの後、時計界はどう変化するでしょうか?
「う~ん、おそらく我々には関係ありませんね。ただ、スイスではサプライチェーンの動きが突然ストップしたことが、新型コロナの初期の影響としてありました。私もパンデミックが始まったころ、『今後、多くのメーカーで部品入手が難しくなるのでは?』と懸念しました。そこで部品の供給ルートをどう再構築し、必要なパーツを確保するかが大事になったのです。
しかし、我々のような小さな時計会社では、私が決断さえすれば、違うサプライヤーから部品供給を受け、生産体制を再構築することは比較的容易です。でも、大きなブランドになると、そう簡単に供給元を変更できないので、大変な状態に陥っていたようです。この時は小さな会社ならではの強みが出せました」
なるほど。新型コロナのパンデミックは少なくともクロノスイスにおいては極めて僅かであったということですね。では、今や世界は新型コロナからの復興期に入ったようですが、その前と後で人気モデルや売れ行きに変化はありますか?
「パンデミックの最中からニッチなブランドが注目されているように感じます。人々は無名でも質が高く、興味深い時計を探し始めたという変化を実感しました。そしてパンデミックは人々に新しいブランドを探すための時間を与えたのです。
かつてクロノスイスは、クラシカルな製品が主軸でしたが、今はモダンな技術を取り入れたものへと変化している過程です。それがユーザーの心に訴えたと思っています。
言い方を変えるとクロノスイスは競争相手がいないエリアに、あえて立ち位置を変えているのです。この変化は4~5年前から始まっており、ファッショナブルなモダン・メカニカル・ウォッチという方向性は新作に反映されています」
INFORMATION
クロノスイス(CHRONOSWISS)についてのお問合せは・・・
栄光時計株式会社
〒110-0016 東京都台東区台東4-19-17
TEL: 03-3837-0783
クロノスイス ブランドページを見る