RESERVOIR“創業者&CEOの趣味と情熱が具現化した個性派ウォッチ「レゼルボワール」の躍進 01
独創のメカニズムをひっさげて
劇的デビューを果たした「レゼルボワール」

レゼルボワールの創業者&CEOのフランソワ・モローさん。コレクションする古いメーターをベースに「レゼルボワール」の時計作りをスタートした。「たとえばインスパイアされたメーターのスタイルを、まず時計のダイアルに写し、そこからクルマなら、そのフォルムに合わせてケースをデザインします。その結果、現在『レゼルボワール』には4種類のケースが存在します。それはガラスが平らだったり、ふくらんだボンベ型だったりという違いに加え、ラグやリューズの形状も異なるなどのバリエーションが生まれたのです」
「パリでレトログラードミニッツ・ジャンピングアワーの独自システムを開発してデビューした『レゼルボワール』というブランドがある」という情報を入手したのは、たしか今から7年前の2018年、スイスで開催された世界最大規模(当時)の時計見本市「バーゼルワールド」の直前だったと思う。
この情報をもたらしたのは、以前から懇意にしていたPR会社の日本人女性。実は彼女はパリの「レゼルボワール」本社から日本での代理店探しを委託され、そこで我々プレスにも声をかけてくれたのだった。
それを知った我々は急遽、バーゼルワールドの日程に「レゼルボワール」の取材を組み込み、ブースを訪ねることにした。そこで見たのは自動車や航空機のコクピットに装備されたメーターを思わせる個性的なレトログラードミニッツ・ジャンピングアワーのモデル。社主のフランソワ・モローさんに話を聞いたところ、自身が計器類のコレクターであり、その趣味が昂じてメーターをモチーフとしたリストウォッチ開発に情熱を傾けたのだとか。たしかに古い自動車や航空機、船舶などの計器には魅力的なものが多い。しかもモローさんは燃料やオイルが入っていたブリキ缶もコレクションしており、その収集品の一部がバーゼルのブースにも展示されているではないか。そんな趣味に大いに共感した私はモローさんと意気投合。日本での代理店探しのお手伝いを買って出ることになった。
そもそも「レゼルボワール」の特徴的機構である「レトログラードミニッツ・ジャンピングアワー」とは、文字盤に0分から60分まで刻まれた扇状の目盛りを分針が動いて「分」を表示し、それが60分に到達すると瞬時にゼロに復帰する(これがレトログラードミニッツ)と同時に、文字盤下部の窓に示された「時」の数字が瞬時に次の時刻にジャンプ(つまりジャンピングアワー)するというものだ。
そして私はバーゼル取材から帰国後、いくつかの知り合いの時計代理店に打診をし、その商談のために来日したモローさんと食事をとりつつ情報交換を重ねた結果、名乗りを上げたのが輸入時計の老舗・一新時計であった。
というわけで日本への正式上陸以前から親交のあったモローさんであり「レゼルボワール」だったが、その後の彼の来日となかなか日程が合わず、何年間も会えない時期が続いていた。つまり2024年11月の来日とこれに伴うインタビューは実に久々の再会なのであった。
ちょっと長くなったが、これを頭に入れていただいておくと、これから後のモローさんへのインタビューに合点がいくはずである。
往年のスポーツカーと航空機に
インスパイアされた魅惑のコレクション
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伝説の戦闘機「P-51 ムスタング」にインスピレーションを得て開発された「エアファイト クロノグラフ」。バイ・レトログラード仕様で日付と秒を表示。12時位置に30分積算計、6時位置に12時間積算計をセット。ベゼルには音の到達時間から距離を割り出すテレメータースケールを備える。シルバーのスチール・ケースとブラック・ケースがある。
そこで最初の質問は、会っていなかった数年の間に「レゼルボワール」が発表したトピックとなるプロダクツについてとなった。
「あなたに会っていない間、『レゼルボワール』では実にいろいろな製品をリリースしてきました。そこでまず私が紹介したいのが『カニスター』というコレクションです。
これは名車のアイコニックなダッシュボードにインスパイアされたモデルで3年前に開発しました。ケース径は41.5mm。ケースはチタンのポリッシュ仕上げで、今では大変人気の高いコレクションになりました」
たしかにこれは私が取材した際にはなかったモデル。伝説の名車356スピードスターのRPMカウンター(エンジン回転計)にインスピレーションを得た印象的なダイアルと、軽量なチタン・ケースで個性と装着性の高さを両立されているのがポイント。装備するストラップは当時のバケットシートを思わせる。この「カニスター・コレクション」は、2022年にドイツにおける国際的なプロダクトデザイン賞であるレッドドット・デザイン賞を受賞したという。
「そして、もうひとつ紹介したいのが2023年に発表した『ブラックスパロウ』です。これは第一次世界大戦の航空機のコクピットをモチーフにしました。そして第一次世界大戦時にフランス航空軍に入隊した初のアフリカ系アメリカ人戦闘パイロットであるユージン・ブラードへのトリビュートとして、当時のタイムピースが装備していたオニオン型のリューズやコインエッジを刻んだベゼルを再現し、ラグのボルトもコクピット・クロックの固定法から取り入れています。インデックスの数字はアールヌーヴォーのスタイルで、ケースはステンレススチール製。ダイアルはベージュとブラックがあり、ブラックのダイアルにケースもブラックのモデルも用意されています」
取材・文:名畑政治 / Text:Masaharu Nabata
写真:山下亮一 / Photo:Ryoichi Yamashita
INFORMATION
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