Richard Mille Factory Tour 完全自社生産体制を確立した スイス屈指の 最先端マニュファクチュール
リシャール・ミルのムーブメント製造を担当するのは、トゥールビヨンなど複雑モデルが「ルノー・エ・パピ」。自動巻きムーブメントは「ヴォーシェ・フルリエ」。RM 007など女性用モデルは「ソプロード」。完全自社開発ムーブメントは自社工場「オロメトリー」で生産される。ケース製造が「プロアート」。組み立ては「モントレ・ヴァルジン」である。
今回は「モントレ・ヴァルジン」と「プロアート」、モントレ・ヴァルジンとリシャール・ミルが共同で設立した自社工場「オロメトリー」を訪ね、その生産現場を紹介しよう。 「オロメトリー」で行われているのはモデルの設計開発、組み立て、修理。まず開発のスタートはリシャール・ミル氏が独自の発想を技術開発担当者に伝えることから始まる。
その際、ミル氏が要求するのは“リシャール・ミルのDNAをできるだけ多く入れること”。それは例えばビッグデイト、ファンクションセレクター、可変慣性モーメントローター。可変慣性テンプなど。このような独自技術が限りなくクリアに見える設計が求められるのだ。
同時にムーブメント自体が堅固で信頼性が高いことも重要。実際、リシャール・ミルのモデルには文字盤がなく(あるいはサファイアクリスタル製)、地板も徹底したスケルトン加工が施されているものが多く、クリアな視認性と耐衝撃性を両立させるのは並大抵のことではない。
これらの要望を踏まえつつ輪列構造を設計。これを元に、この輪列配置でどの程度の容積が必要かをコンピュータ上でシミュレーションする。
次に行うのは市場調査。現在の市場にどんなムーブメントがあるかを調べ、他社の特許に抵触しないかを確認し、さらに機能的で優れたムーブメントを目指す。
この段階では新機構ごとにアクリルで大型の作動模型を作成。これをミル氏や開発スタッフで検証し、問題点を洗い出す。
これが終わると量産試作へ。地板や受けは自社で製造し、その他はサプライヤーに発注。これで10個の試作品を作り検査する。ここでは約10年間の連続した使用を想定し、ファンクションセレクターなどでは、5万回もの作動テストにかける。
これに合格すると必要なモデルについては公的機関の行うクロノフィアブル・テストの認定を受け、本格生産となる。
あるモデルの場合、1か月の予備研究の後、実際の開発に6か月、試作に6か月。最終的なGOサインが出るまでに1年。結局、開発のスタートから開発終了まで約2年半かかったという。
この開発期間は製品により異なり、シリーズ製品ではおよそこの程度だが、より複雑で新規開発モデルでは4年以上かかる場合もあるという。
こうして完成したムーブメントを搭載するケースを製造するのがプロアート社である。
取材・文:名畑政治 / Report&Text:Masaharu Nabata
写真:高橋和幸(PACO) / Photos:Kazuyuki Takahashi(PACO)
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