SEIKOセイコー創業140周年を記念して蘇った伝説の名機の全貌。王の帰還 02
オリジナル・モデルの精神を継承しつつ
高い品位を追求した“KSK”のディテール
伏見さんが語るように、『KSK』の復刻にあたって、ヴィンテージ・モデルを相当丹念に研究されたことがわかる。その結果として完成した『KSK』復刻モデルは、サイズの拡大や日付の追加はあるものの、原型と並べてもまったく違和感がない。
「当時の製品を見て“ここまでやっていたのか!”と驚いたのは、細かな溝が縦横に切られた12時位置の略字(インデックス)です。当時、この加工を一体、どうやって実現したのか? それがわからなかったので、当時の現物をダイアル製造メーカーに持ち込み、略字を電子顕微鏡で拡大した結果、溝を一本一本、工作機械で削っていることがわかりました。こうして略字に同様の溝を切ることができましたが、ここには今の技術者の思いも入っています。この略字はいわば“KSの顔”ですから、当時の雰囲気をできる限り再現したかったのです」(伏見さん)
もちろん、製造の現場でも、私がこの復刻を知ったときに感じたのと同様の声があがったという。
「二代目モデルを復刻すると製造現場に知らせた際、『なんで初代ではないのか?』という声もありました。しかし、それ以上に『KS』というモデルを大切に思ってくれる方が多いことを実感したのです。そんな現場の思いも、このモデルに詰め込まれてお客様に届けばと願っています」(伏見さん)
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原型となった初期の『KSK』にはない日付が復刻モデルでは付加されたが、いわれなければ気づかないほど自然に溶け込んでいる。「可能な限り当時の雰囲気を崩さず追加できるかをデザイナーと相談し、3時の略字を含めたバランスに悩みつつ追加することを決めました」(伏見さん)
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防水仕様を示す”W“の文字と”SEIKO”のロゴが立体的に刻印されたりゅうず。りゅうず自体も大型で、しっかりとした溝が刻まれており、巻き上げや針合わせの際の操作性を優先して設計されていることがわかる。このリューズが『KS』の哲学と存在価値を端的に示している。
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ライオンがモチーフだった『GS』とは異なり、初期の『KS』の裏蓋には西洋の盾をモチーフとするクレストマークのメダリオンが採用された。この復刻モデルでも、盾をモチーフとするクレストマークを正確に再現することで、初期の『KS』のイメージを確実に継承している。
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しっとりとした光沢を持つクロコダイル製ストラップ。これに装着されたバックルは、時計本体とは異なる書体の“Seiko”のロゴが浮き彫りにされたもの。この意匠も1960年代当時に採用されていたもので、今回の復刻モデルのノスタルジックな外装デザインに見事にマッチしている。
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