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SEIKOセイコー創業140周年を記念して蘇った伝説の名機の全貌。王の帰還 04

高い機能性と装着感を両立させた
現行最薄の自動巻きムーブメント

『キングセイコー “KSK” 復刻デザイン』に搭載されるのは、2018年に開発された「Cal.6L35」

『キングセイコー “KSK” 復刻デザイン』に搭載されるのは、2018年に開発された「Cal.6L35」。セイコーの現行自動巻きムーブメントとしては最も薄いものとなる。直径25.6×厚さ3.69mm、自動巻き(手巻き付き)、26石、28,800振動/時(6振動/秒)、日差+15秒~-10秒、パワーリザーブ最大約45時間、日付機能、秒針停止機能。

 1960年代の『KSK』に搭載されたムーブメントは、1958年に第二精工舎亀戸工場で開発された『クロノス』のムーブメントを高級仕様にモディファイし、秒針停止機構を付け加えた「Cal.44A」だった。以前、このムーブメントを開発した技術者たちを取材した際、彼らは「大型化すれば精度を上げることができるが、薄型化の工夫を凝らした」と語っていた。

 この技術者の思いは、後の『KS』や『KSK』にも継承され、高級・高精度モデルとはいえ、ムーブメントの径や厚さは拡大せず、ブリッジの形状を修正して緩急針の微調整装置を加え、随所に高級品にふさわしい仕上げを施すことでムーブメントを進化させたのである。

 今回の『KSK復刻モデル』でも、この『クロノス』のスピリットを継承し、セイコーの現行ムーブメントでは最薄の「Cal.6L35」が採用された。

 その結果、オリジナルと比べ、石数が25石から26石に1石増え、ケース厚が、わずか0.5mmしか増していない11.4mmを実現した。そして、このケース厚のおかげでオリジナルと同等の軽やかな装着感を獲得することに成功している。

「おそらく他のムーブメントを採用したのであれば、ケース自体がもっと厚くなったでしょうし、同時にケース径もさらに拡大せざるを得なかったと思います」と伏見さんは説明する。

 高精度と高級化を単純にサイズ拡大で乗り切るのではなく、与えられた制約の範囲で最上の方法を見出したセイコーの技術者魂。それはこの『KSK復刻モデル』にも確かに息づいている。




協力:セイコーウオッチ株式会社 / Special thanks to:Seiko Watch Corporation

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