GRAND PRIX D'HORLOGERIE DE GENÈVE 2023番外編!“GPHG”特別企画 最終審査員、飛田直哉氏による“実録! ジュネーブ・ウォッチメイキング・グランプリ2023” 05
「Oscar goes to……」のプレゼンターを務める
※オーデマ ピゲ公式HP:https://www.audemarspiguet.com
Chapter 06. ハリウッド張りの授賞式、そしてガラ・ディナー
2023年11月9日(木)、GPHGの発表・受賞式は、恒例となったフェアモント・グランド・ホテル・ジュネーブの地下にある“テアトル・デュ・レマン” (Théâtre du Léman)で行われた。ここで最終審査員たちはプレゼンターの役目を担う。
「発表・授賞式における審査員の仕事としては、壇上での発表と受賞ブランド代表者へのトロフィーの授与があります。米国のアカデミー賞で『Oscar goes to……』ってやるじゃないですか、あれをやらなければならないのです。私の場合はデンマークの男性とふたりで登壇して、ちょっとコメントをした後に私がトロフィーを持ち、彼が『Oscar goes to……』ってやりました。我々の時の受賞者はディオール(註:レディス・コンプリケーションウォッチ賞の「ディオール グラン ソワール オートマタ エトワール ドゥ ムッシュ ディオール」)でした。ディオールは今回初受賞ですか?
オスカーの授与に登壇したのは女性でしたけど無茶苦茶緊張したでしょうね、ジャン・アルノーの前ではね(註:ジャン・アルノー氏は、デュオールを傘下に収めるLVMHグループ取締役会長ベルナール・アルノー氏の四男で末っ子の人物)。
授賞式は16時30分から20時までだったから3時間30分ですが、実際は2時間ぐらいでしょう。すごく綺麗な会場で、かつてのオペラ座とは大違いです。オペラ座は本当に古いので」
※クリストファー・ウォード公式HP:https://www.christopherward.com
授賞式後はガラ・ディナー(パーティ)が控える。これぞ欧州サロン文化の一端を飛田さんは堪能する。
「発表・授賞式を地下の“テアトル・デュ・マン”で行なった後は、同ホテル2階のレセプションをぶち抜いてガラ・ディナーが開かれます。ここでは円卓を各参加ブランドが『買う』のです。そこにブランド責任者やマーケティング責任者が着席し、懇意にしているプレス等を招待します。2023年はセイコーも参加しているので、円卓には内藤さん(昭男氏。代表取締役社長)と柴崎さん(宗久氏。取締役・執行役員)だったかな? が着席されています。伝統的に読売新聞のパリ支局の人は招待されているようで、赴任したばかりの人がいらっしゃっていました。その御三方と私だけが日本人で、後は全部海外の人です。私は(日本人が少ないことに)ショックを受けて『この場には日本人がいなくてはイカん!』と言いました。
このガラ・ディナーには審査員でなくても、有名どころの評論家やプレスはみんな来ています。そうやって社交をして顔を売っているのですね。これはメーカーとメディアのプレゼンスの場所として、非常に重要だと思いました。香山知子さん、松山 猛さん、山田吾郎さんたちは行かれたことがあると思います。審査員であろうがなかろうが、みんな来ていることにびっくりしました。
ディナーと言いながらふた皿目ぐらいからは、あちこち立ってぐちゃぐちゃの状態(これはいつものことで、ヨーロッパ式無礼講)。私は午前0時ごろに引き上げましたが、いつものように夜中まで続いたのでしょう。幸いエレベーターに乗れば自室に戻れますから、今回はこれがいちばん良かったかな」
Chapter 07. 様々な人と出会い、メディアの取材も受けて大忙し
「いろいろな人に出会えたことが良かったですね。特に感心したのが“小さな針”賞を受賞した英国のブランド、『クリストファー・ウォード(Christopher Ward London)』。彼らのモデルは1時間ごとに音鳴りがする、一種のソヌリです。セリタのSW-200をベースに、自社開発の1時間に1回鳴る機構を重ねて日本円で50万円以下(2023年11月の為替レートで計算)で販売しています。本社とデザインは英国ですが製造はスイス。この英国とスイス双方の人物と話をしました。クリストファー・ウォードさんはもう会社にはいません。まぁ、時計ブランドあるあるですね。会場には代表者、製造責任者など色々な方がいらっしゃいました。
審査員は各テーブルに割り振られ、私はこのクリストファー・ウォードに指定されました。最初の30分くらいはこのテーブルにいまして、スイスでの時計製造責任者と話ました。私より十歳くらい年上だったかな。当然ながらサプライヤー事情にものすごく詳しくて、とても参考になりましたね」
※GMインターナショナルの公式HP:https://www.gm-international.co.jp/brand/
あちこちから多くの人の話し声や笑い声が錯綜して聞こえ、とにかく話しまくるという情景が見えるようだ。
「プレスインタビューなどがあったので、結局帰国は翌日ではなく一泊延長して翌々日の11日(土)になりました。プレスインタビューとは、GPHG会場に取材に来ているプレスなどから私がインタビューを受けるのです。たとえば、中国本土で発行しているライフスタイルマガジンの記者のインタビューを受けました。GPHG自体を取材しているメディアです。他は『WATCH TV』というYoutubeメディアがありますが、そこの『PRIME TV』という月に1回の番組から取材を申し込まれたので、ジュネーブ市外のスタジオに行ってインタビューを受けてきました。この番組はオススメですよ。私はもう5年以上は観ています」
現地に行くには、やはり英会話力(と度胸)を養わねばならないことは違いない。頑張ろう。
取材協力:飛田直哉(NH WATCH) / Special thanks to:Naoya Hida(NH WATCH)
©FONDATION DU GRAND PRIX D'HORLOGERIE DE GENÈVE
INFORMATION
エヌエイチ ウォッチ(NH WATCH)についてのお問合せは・・・
NH WATCH株式会社
〒104-0045 東京都中央区築地3-2-10
エヌエイチ ウォッチ ブランドページを見る