FRANCK MULLER複雑時計の進化を促進したトゥールビヨン革命の足跡
複雑時計の進化を促進した
トゥールビヨン革命の足跡
1995年の「インペリアル トゥールビヨン」に続いて、我々を驚かせたフランク ミュラーのトゥールビヨンが、2002年に発表された「レボリューション1」だ。
これはケース左側面のプッシュボタンを押すとトゥールビヨンのキャリッジがせり上がる機構を備えたモデル。時分針は自動的に12時位置に移動し、ボタンを戻すと再び正しい位置に復帰する凝ったメカニズムが搭載されていた。
その翌年(2003年)、フランク ミュラーは、文字盤水平方向に60秒で一周、文字盤垂直方向に8分間で1周する2軸トゥールビヨン「レボリューション2」を発表。この立体回転するトゥールビヨン・ケージは時計の厚みを越えるため、裏面のサファイアガラスにはそれを避ける膨らみが設けられた。
さらにこの年、フランク ミュラーはダイアル上に不規則に並んだインデックスを時針がジャンプしつつ時を示す「クレイジーアワーズ」も発表したのだから驚く。
そして2004年には、3つの軸を備え、より複雑な回転を実現した「レボリューション3」を発表。2005年には、これに永久カレンダーを加えた「エボリューション3-1」が登場する。
その後もフランク ミュラーのトゥールビヨン革命は続いた。2006年にはトゥールビヨン、エターナルカレンダー(1000年間修正不要の永久カレンダー)、スプリットセコンド・クロノグラフ、トリプルタイムなどの複雑機能を持つ「エテルニタス」(搭載する機能の違いで5つのバージョンがあった)をリリース。
2007年にはトゥールビヨン、グラン&プチ・ソヌリ(ウェストミンスターカリオン付き)、ミニッツリピーター、エターナルカレンダー、ムーンフェイズ、エクエーション・タイム(均時差)、ふたつのタイムゾーン表示、スプリットセコンド・クロノグラフを搭載し、4日間ものロング・パワーリザーブも実現した超絶複雑時計「エテルニタス メガ4」が登場した。
これらの作品によって、腕時計に搭載できる限りの複雑機構はほとんど実現したと言える。そこでフランク ミュラーは多機能競争から脱して、トゥールビヨンの存在感と美的感覚をさらに研ぎ澄ましアピールする方向へと向かうのである。
取材・文:名畑政治 / Report&Text:Masaharu Nabata
写真:江藤義典 / Photos:Yoshinori Eto(25周年記念インタビューを除く)
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