FRANCK MULLER大胆な試みから始まった 素材のイノベーション
大胆な試みから始まった
素材のイノベーション
時計の価値とは一体、どこで決まるのか? 現在なら多分、多くの方が「ムーブメントの質」、あるいは「複雑機構の搭載数」などと答えるだろうが、かつて(20年以上前)は少々、事情が違っていた。
当時、時計の価値は、主にケースに用いられるプラチナやゴールドなどのプレシャスメタル(貴金属)で決まっていた。さらに、そこに埋め込まれるダイヤモンドなどの宝石の質と数が増えることで価格が上がり、ムーブメントの質や機能は、少し大袈裟に言えば二の次、三の次であった。
そのような状況に風穴を開けたのが、他ならぬフランク ミュラーだった。
フランク ミュラーが独立時計師として活動を始めた当初、彼も他のスイス・ブランドと同じように自作のムーブメントを貴金属のケースに収めて作品を完成させていた。事実、以前にこの連載で紹介したフランク ミュラーの初期カタログに掲載されているのは、すべてゴールドのケースを持つ作品である。
もちろん、これは当然で、搭載されるムーブメントの質が高ければ高いほど、それに見合った価値を持つ貴金属のケースに収めることが求められたし、顧客もそれによって、深い満足感を得ることができるからだ。
ところが1994年。フランク ミュラーはひとつの画期的なモデルを世に送り出す。それが「カサブランカ」。このモデルは、これまでプラチナやゴールド・ケースの時計を作ってきたフランク ミュラーが初めて手がけたステンレススティール製ケースの腕時計であった。
通常、ステンレススティールの時計は、普及品あるいは廉価版と考えられていたが、フランク ミュラーは、この常識を否定することから「カサブランカ」を開発したと語った。
「これはまったく新しい哲学に基づいて誕生したモデルだ。価格を下げてたくさん売ろうと思ったわけではなく、休日や旅行に気軽に使える時計を作ろうと考えたのが、そもそものスタート。だからスティール素材は非常に上質なものを採用し、ムーブメントは上級モデルと同じプラチナ・ローター付き。サファイアガラスも軍が医療用に使う最上級品質のものを使った」(フランク ミュラー談。2003年)
つまり、貴金属が高級でスチールは廉価版という“常識”を覆し、スチール・ケースでも吟味された素材を用い、耐久性や傷付きにくさなどの長所を生かすことで、日常遣いや旅行用としての用途を拡大し、新たな価値を創造したのがフランク ミュラーの素材における改革の第一歩だったのである。
高品質スティール・ケースの
「カサブランカ」が変えた高級時計の素材
プレシャスメタル(貴金属)・ケースにはじまり、当時の常識を覆すステンレススティール・ケースによって高級時計における素材改革を実現したフランク ミュラーは現在、実に多彩な素材をケースに採用している。
まずは「カサブランカ」のコレクションに代表されるステンレススティールがあり、18Kゴールドでは、ピンク、イエロー、ホワイトなどを基本として、特別なモデルではプラチナやグリーンゴールドなどの稀少素材も採用されている。
このような豊富な素材を縦横無尽に駆使するのも、フランク ミュラーならでは。さらにベーシックなラウンド型にはじまり、革新的な「トノウ カーベックス」、レクタンギュラー型をベースとする「ロングアイランド」、カレ(正方形)型の「マスタースクエア」など豊富なフォルムのバリエーションを展開するフランク ミュラーのコレクションでは、サイズ展開も実に多彩。となると、素材とフォルム、サイズの組み合わせは驚くべき豊富さとなるが、次項ではそのケース・サイズの展開についてお話しよう。
取材・文:名畑政治 / Report&Text:Masaharu Nabata
写真:江藤義典 / Photos:Yoshinori Eto(25周年記念インタビューを除く)
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フランク ミュラー ウォッチランド東京
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